ANITA O’DAY / SINGS THE MOST / VERVE 20MJ 0008
1957年
レーベル Verve
プロデューサー、ノーマン・グランツ
「The Jezebel of Jazz」と称される白人女性ジャズシンガーの先駆者。
彼女の歌声を存分に堪能できるヴァーヴレコードの代表作。
バックには黄金期を迎える前であった強力なオスカー・ピーターソン・トリオが務める。ピアノも素晴らしいが、レイ・ブラウンのベース、ドラムは、ハーブエリスの実直なプレイがアニタの歌声と調和する。
オスカー・ピーターソンは黒人であったがカナダ・ケベック州(もともとフランス領であり公用語はカナダ国内唯一のフランス語)であったため、泥臭い黒人ジャズピアノというより、いささか卒の無い真面目なピアニストである。
アニタ・オデイの歌声はビブラートを多用せず、音程の高低も少なく、跳ねるというよりも真横にスウィングするかのような狭い範囲で歌い上げる工夫のあるシンガーの個性と
オスカー・ピーターソンの基礎部分をブレさせない演奏の個性が見事にハマって生まれた名盤であろう。きっとバッグの演奏が前に出てくるようなものであったならアニタの声は消されていたに違いない
一聴き惚れるような分かりやすい華があるのでなく、静かな中にも、しっかりとしたアニタの持つ声の深い魅力が、飽きずに愛されたシンガーの理由だと思う。