1977年リリース 10作目
プロデューサー、トニー・ヴィスコンティ
ドラッグ漬け生活を送っていたボウイが欧州ドイツに活動を移したベルリン3部作の一発目。当時、クラフトワークなどジャーマンロックに刺激を受けていた話は後に自身が語っているが、元ロキシー・ミュージック、アンビエントミュージック提唱者ブライアン・イーノとの共作におけるアナログB面がほぼ全て実験的インスト曲になっている。
当時のファンは、ほぼブライアン・イーノ節一色の実験アンビエントサウンドに困惑しただろうが、昨今の環境音楽ブームにおけるイーノの再評価を考えると、先見の明があったボウイの早すぎた才能だったと思えるのである。全英チャート2位と売上的には十分ヒットした作品であるが。
A面の楽曲群もハンマービートのような強いドラムと破裂するようなサウンド処理に、英国ロックンロールでありながらジャーマンロックを意識していたのは間違いないだろう。同時期にイギー・ポップの制作を手伝っていた関係か、バックコーラスにイギーポップも参加している。
アメリカでの歪んでいく私生活を取り戻すため、故郷の英国ではなく、ドイツを選んだボウイの逃避再生的作業が紡がれ始めるのであった。