DAVID BOWIE / TONIGHT / EMI EYS-91092
1984年発表の15作目
全英チャート1位を獲得するヒット作となった今作は意外にも本人自身の曲が少ない構成となっており、9曲中の6曲が客演・カバーなど目立つアルバムとなっている。
長いキャリアであるデヴィッド・ボウイのどこの時代を切り取るかで、大きく音楽性が違ってくると思うのだが、比較的グラムロックのアイコンから抜け出そうとしていたボウイの苦悩が少し伝わってくるようなポップ方向への模索を感じざるをえません。
アルバム曲の3曲しかボウイ自身の新曲が無いように、ティナ・ターナーとの「トゥナイト」などどうしても客演のパワーに持って行かれてるように思います。
ボウイが変化していく過程の通過点としてアルバムを見るかどうかだと思いますが、今改めて聴くと、ポップスとしてのアプローチは合格点なのではないでしょうか?
スターキャリアの良いアルバムなのに過小評価されている特徴として、最高傑作と比べるから劣ってるように見えて、質自体は高いという傾向があると思います。
レゲエ調のナンバーや、ニューウェイブっぽい硬質な打ち込みハンマービート、サウンド面でも新しい事を取り入れてチャレンジしているボウイは、アーティストとしても成長しようとする証だと思う。