KISS / ROCK ROLL OVER / CASABLANCA VIP-6376
1976年発表 先のライブアルバムを除いてはスタジオアルバム5作目。
大ヒットした前作のボブ・エズリンでなく、ライブアルバムで手腕を発揮したエディ・クレイマーをプロデューサーに起用。レコーディングもスタジオでなく、劇場を貸切で使用し、メンバー4人のみでの演奏と初期のライブ感あふれるサウンドに原点回帰するようなプロダクションとなった。
翌年1977年に日本での初来日公演が実現し、国内でもヒットしたアルバムである。
奇抜なメイクと衣装・ステージングでパーティロックイメージの強いグループであるが、余計な偏見無しにしっかり楽曲を聴くと、演奏技術が高く、各パートのグルーヴ感、聴きやすいメロディで質の良い曲と王道的なアメリカンハードロック。
表層だけのお遊びロックとは一線を画す実力派バンドである。
キッスの某ドキュメンタリー番組を見ていたら、下積み時代は毎日8時間バンドの練習を皆でやって、年間300ステージはこなしていたとポール・スタンレーが言っていて驚いた記憶がある。
理屈抜きで楽しめるのが本当のロックンロールであろうけれど、理屈抜きで楽しめるパフォーマンスを生み出す陰には、ただならぬ努力がある。叩き上げのロックンロールそれが今作であると思う。