MILES DAVIS / MILESTONES /?CBS/SONY SOPL-153
1958年2・3月録音
レーベル、コロンビア
モードジャズとなると必ず名を目にする作品であるが、クインテット編成からキャンボール・アダレイ(アルト・サックス)を新たに迎え、セクステット編成にして挑む彼の思惑は、モード奏法をより緻密に拡張させるべくアイデアを描いていた事であろう。
この時期のマイルスをキャリア史上最強と評する人は多いが、マイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、ポール・チェンバース(b)、レッド・ガーランド(p)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)に加え、キャノンボール・アダレイ(as)と並ぶ強烈な6人の布陣である。
常にジャズ界の新しい解釈の拡張創生と既存への破壊を繰り返すトップランナーとして君臨したマイルスの自ら問いかける葛藤は、ハードバップとモードが混在するまさしく変わりゆくジャズの激動時代さえもこの作品から感じることができるだろう。
同年チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」がヒットし、アメリカ音楽業界は大きなロック黄金期を迎え、ジャズ界にも不遇な転換期を余儀なくされる60年代へ突入していく。
今作タイトルを自ら「標石」とした悩める帝王マイルスの苦悩とチャレンジがまたここから始まるのであった。