MILES DAVIS / SKETCHES OF SPAIN / CBS/SONY 25AP 756
A1 | Concierto De Aranjuez (Adagio) | 16:14 |
A2 | Will O’ The Wisp (From “El Amor Brujo”) | 3:48 |
B1 | The Pan Piper | 3:57 |
B2 | Saeta | 4:57 |
B3 | Solea | 12:08 |
1960年発表、ホアキン・ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」へのジャズ化を着想に制作されたスパニッシュジャズアルバム。モダンジャズ最高傑作とも称される前作「カインドオブブルー」で共演したジョンコルトレーンは今作不参加。
裏話でプロデューサーであったテオ・マセロの初仕事が、ジャズカバーへの難色を示していたロドリーゴに「最初の印税が入るまで見てて下さい」との説得だったらしい。
ギター曲であるオリジナルを凌駕するほどのマイルスのトランペットは、当時のスペイン内戦やジプシー、エキゾをも含む空気を包括した情景で哀しく強く鳴り響いている。
チックコリアも「Spain」にてアランフェス協奏曲の第二楽章を導入するなど、多くのミュージシャンにカバーされている。
アランフェス協奏曲ばかりがクローズアップされる作品だが、後に閉塞していたジャズシーンへの風穴を開ける事と、ジャズの解釈を拡張させるクロスオーバー・電子ジャズフュージョンへの幕開けを告げた偉大傑作「ビッチーズブリュー」への布石になるギルエバンスの手腕も後半曲から感じざるを得ない。
マイルスがモード・モダンジャズからの転向を図る起点になったであろう今作はジャズ史における重要性においても深く興味の尽きない作品である。