PAUL CHAMBERS QUARTET / BASS ON TOP
1957年7月録音 ブルーノートレーベル
ジャズベースと言えば、デューク・エリントン楽団でもプレイしたジミー・ブラントンの名が挙がるだろうが、モダンベースのソロと言えば、やはりこのアルバムである。
二十歳前後でマイルス・デイビス・クインテットに加入し、在籍中での作品になる。
ジャズベースといえば、ピチカート(指弾き)が主流であったが、冒頭曲「Yesterdays」ではアルコ(弓弾き)・ソロを披露しているように、ジャズ・ベース界に弓弾きを流行させたのもポール・チェンバースである。もちろん指弾きをしても天下一品であり、2曲目「You’d Be So Nice to Come Home To」においての軽快なウォーキング・ベースを楽しめる。
ハンク・ジョーンズのピアノ、アート・テイラーのドラム、ケニー・バレルによるギタープレイも素晴らしいが、ソロとしてのベースに耳が心地よくなるであろう。
ジャズマンにはありがちであるが、ポールもまたアルコールとドラッグに溺れ、33歳の若さで早すぎる死を迎えてしまう。フリー・ジャズが隆盛を見せていた中、頑なにモダンジャズスタイルのベースにこだわった職人気質なチェンバーズが込めた思いを、ひしひしと感じられるジャズベース名盤である。