PINK FLOYD / WALL / CBS/SONY 40AP1750,1
A1In The Flesh?3:16
A2The Thin Ice2:27
A3Another Brick In The Wall (Part I)3:21
A4The Happiest Days Of Our Lives1:46
A5Another Brick In The Wall (Part II)3:59
A6Mother5:32B1Goodbye Blue Sky2:45
B2Empty Spaces2:10
B3Young Lust3:25
B4One Of My Turns3:41
B5Don’t Leave Me Now4:08
B6Another Brick In The Wall (Part III)1:48
B7Goodbye Cruel World0:48
C1Hey You4:40
C2Is There Anybody Out There?2:44
C3Nobody Home3:26
C4Vera1:35
C5Bring The Boys Back Home1:21
C6Comfortably Numb6:23
D1The Show Must Go On1:36
D2In The Flesh4:15
D3Run Like Hell4:20
D4Waiting For The Worms4:04
D5Stop0:39
D6The Trial5:13
D7Outside The Wall1:41
プログレッシブ・バンドの先駆者として、世界のロック史にその名を刻むロックバンド「ピンク・フロイド」。1965年デビュー時のメンバーでカリスマ的な人気と才能を誇ったシド・バレットの脱退後、サイケデリックからプログレッシブへの転換を成功させて一躍スターダムを駆け上がった。本作は作品作りの主導がメンバーの一人、ロジャー・ウォーターズに移行していた1979年に、2枚組のロック・オペラ・アルバムとして発売されたもの。
全曲に一貫したコンセプトは、ロック・スターの〝ピンク″を主人公に、学校教育など社会からの抑圧にあらがう男の人生を描くというもの。反社会的な内容の歌詞が散見されることから、一部メディアでは放送禁止になることもあった。しかしシングル・カットされた「Another Brick In The Wall(Part Ⅱ)」はイギリス・アメリカ両国のチャートで1位を獲得し、アルバム作品としても米ビルボード1位、英ナショナル3位などを記録。発表当時はパンク・ロックなどのニュー・ウェーブが席巻していたにも関わらず、若い世代をも取り込み、世界中で爆発的なヒットを飾った。
ディスク1で必聴なのは、やはり「Another Brick In The Wall(Part Ⅱ)」。「We don’t need no education(俺たちには教育なんて必要ない)」という反発的な歌詞を中学生のコーラスに歌わせるという演出が良くも悪くも世間の注目を集めた。
人生の後半に該当するディスク2では、次第に正気を無くしていくピンクの状態を物悲しいバラード・ロックが物語る。ドラッグを投与され、ステージに無理やり引き戻される「Comfortably Numb(コンフォタブリー・ナム)」を経て、ついに法廷に引き出され、過去の罪を暴かれる中で精神が崩壊していく「The Trial(ザ・トライアル)」で、オペラともいうべきセリフ調の歌詞、壮大なバック・ミュージックにピンク・フロイドの真骨頂を見ることができる。
ちなみに、「The Trial」に出てくる多数の登場人物を、器用なロジャー・ウォーターズが声色を変えながら一人で歌い切っているのも聴きどころの一つ。