QUEEN / JAZZ WARNER / PIONEER P-10601E
1979年発表 7作目
フレディ・マーキュリーによるアラビア語から始まる冒頭曲「ムスタファ」が示す通り、人気絶頂だったクィーンが多彩な音楽的アプローチを展開する全13曲のポップ万華鏡となっている作品である。
かのジム・オルークも生涯フェイバリットアルバムの1枚に挙げていた。
ロイ・トーマス・ベイカーがプロデューサーを務め、ジャケットデザインは、ポップアート的でアナログ盤にはエンボス加工や初回封入特典でヌード女性集団がサイクリングしているポスターが封入されるなど、パッケージングにも気の利いたセンスが散りばめられている。
制作期間中にメンバーたちはモントレージャズフェスティバルなどへ足を運び、水上スキーなどバカンスに興じながらもリラックスしたムードのまま制作されたそうであるが、そのエピソードが表す通り、遊び心に溢れながらも音楽が持つ興奮や楽しさ、哀しさなど様々な人間の持つ気持ちが作品から放たれていると思う。
ロックスターともなると重圧やファンの期待に応えるかのようなサウンドになり、作品毎に息苦しいアルバムになる場合が多いが、そういうステレオタイプなスター像を見事にKickしてくれるクイーンは、やはりメンタルも強いバンドであるという証拠だろう。