モブ・ディープ(Mobb Deep)は、ラッパーのプロディジー(Prodigy)とプロデューサーのハヴォック(Havoc)の2人で活動していた、アメリカのヒップホップ・デュオです。夜の街を感じさせる低く重たいビートと、生々しいドープなサウンドは、東海岸系ヒップホップ隆盛の基礎を作りあげました。モブ・ディープの作品はいまだ色あせることなく中古市場を賑わせています。今回は彼らの足跡と買取市場で人気の高い作品について解説します。
90年代東海岸系ヒップホップを代表する「モブ・ディープ(MOBB DEEP)」!成功までの道のり
ニューヨーク州クイーンズ地区にあるクイーンズブリッジ・ハウス(ザ・ブリッジ)。この地区は多くのヒップホップアーティストを生み出してきました。モブ・ディープは、このエリア出身のヒップホップアーティストです。プロディジー(Prodigy)とハヴォック(Havoc)の2人の出会いはマンハッタンの高校在学中でのことでした。意気投合した彼らは1991年に「Poetical Prophets」という名義で活動を開始。デモテープを作ってはレコードレーベルや所属アーティストの元に持ち込み、自作曲を聞いてもらうという日々を過ごしていました。
アポイントも取らずにデモテープを聞いてほしいとやってくる彼らを、多くのアーティストが鼻であしらったようです。しかし、「ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)」のQティップ(Q-Tip)は違いました。デモテープを聴き、「お前たちが気に入った」と言い、デフ・ジャム・レコーディングス(Def Jam Recordings)の人間に彼らを紹介しました。この出会いによって直接契約に至ったわけではありません。ですが、この出会いによってモブ・ディープのデビューまでの道筋が生まれたと言われています。
シングル曲「Hit it from the Back」で名前を知られるようになったモブ・ディープは、1993年にファースト・アルバム「Juvenile Hell」をリリース。このアルバムはDJ プレミア(DJ Premier)とラージ・プロフェッサー(Large Professor)が作成に参加していることでも知られています。悪名高いクイーンズブリッジ・ハウスでの生活を背景にした、攻撃的で重厚なスタイルのサウンドは、当時の社会性を意識したリリックを売りにするラップとは一線を画すものでした。
東海岸系ヒップホップの主流なスタイルとして、次第に認知を広げていくモブ・ディープ。その人気を決定付けたのは1995年リリースしたセカンド・アルバム「The Infamous」でした。このアルバムでは、クイーンズブリッジ・ハウスで生きる苦労が描かれています。収録されている「Shook Ones(PartII)」はシングル曲としてもヒットしました。「The Infamous」はローリング・ストーン誌が選ぶ歴代最高のアルバム500枚にも選出されました。
1996年には3枚目のスタジオ・アルバム「Hell on Earth」をリリース。このアルバムは数百万枚を超すヒット作になり、プロディジーとハヴォックは、それぞれ最も影響力のあるMCとプロデューサーという地位を獲得。名実ともに東海岸系ヒップホップを代表する存在になりました。
中古CDの買取市場で人気を集めるモブ・ディープ作品の特徴とは?
ヒップホップというジャンルは非常にライフサイクルが早いことで知られています。長年キャリアを維持できるアーティストは一握りでしかありません。定番やクラシックと呼ばれる楽曲を生み出す者は、ほとんど現れないと言えます。モブ・ディープはそんな世界に、数多くのクラシックを生み出したアーティストです。中古市場で高い評価を受けるモブ・ディープ作品の多くはクラシックが含まれているという特徴があります。
「Shook Ones(PartII)」「Survival of the Fittest」を含むセカンドアルバムや、「Hell on Earth」「Quiet Storm」「Burn」「Twisted」などを収録した作品は、買取現場で注目を集めやすいです。なお、まとめてモブ・ディープの楽曲が聴けるコンピレーション作品やベスト盤も高い人気があります。
買取市場で注目のモブ・ディープのCDを紹介
「The Infamous」
名曲として知られている「Shook Ones(PartII)」が含まれたこのアルバムは、モブ・ディープの成功を決定付けた1枚として知られています。アルバムにはQティップが作成したトラックも数曲含まれています。サグラップやゲットー(隔離された地区)からの脱却をテーマにしており、東海岸系ヒップホップの原点回帰を感じさせる作品としても市場人気が高いです。
「Blood Money」
2006年に発表されたこのCDは、50セント(50 Cent)・メアリー・ジェーン・ブライジ(Mary J. Blige)・ネイト・ドッグ(Nate Dogg)をはじめとする数多くのアーティストが参加した作品です。モブ・ディープのすべてのアルバム作品に参加しているビッグ・ノイド(Big Noyd)がフィーチャーされていない唯一の作品としても有名です。この作品は全米ビルボード・R&B部門において1位を獲得。収録曲「Quiet Storm」は今もなおクラシックとして演奏されている数少ないヒップホップの楽曲です。
「Hell on Earth」
重く・暗く・ドープなハードコアな楽曲がそろった本作品は、最もモブ・ディープらしいアルバムといえます。売上は全米ビルボードチャートで5位、同R&B部門では1位に輝きました。アルバムが制作された時期は東海岸と西海岸のライバル関係(東西海岸ヒップホップ抗争)の絶頂期。この作品は西海岸への攻撃的な作品とみなされましたが、同時に音楽評論家からは高い評価を得ました。
新しい”クラシック”を生み出したモブ・ディープ!CD買取ならエコストアレコードがお勧め
モブ・ディープは2012年に解散し2013年に再結成しました。しかし、2017年にプロディジーが42歳という若さで他界しました。彼らの作品はヒップホップとしては珍しく、新しいクラシックとしてさまざまなシーンで演奏されています。まさに東海岸を代表する最重要ヒップホップ・デュオであったといえるでしょう。エコストアレコードではモブ・ディープの作品の買取のお申し込みをお待ちしています。CD作品をお持ちならぜひご連絡ください。
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