「いなたい」「イナたい」の語源
黒人音楽の独特のフィーリングや曲調、ブルースやジャズの「ブルーノート」中で、いなか風な、野暮ったい、しかし味がある音を表すときに使う言葉。もともとは関西で使われていた口語だと思われる。語源については、方言辞典、口語辞典、古語辞典にも掲載が無く、理由に見合う根拠が見つかったので書いてみた。(あくまでも推測に過ぎない個人的な意見としてご覧下さい)
「いなたい」とはもともとは「いなか」を表す言葉であるが、その語源として第一に考えられるいなかとは、「田舎」と表記するが、これはもともとは田んぼの中にある家を表す田舎(たしゃ・でんしゃ)が転じて当て字的に使われるようになったと思われる。そこで本来いなかを表す言葉として、(諸説色々あり、どれが本当だとは言えないが)古来から使われていたいなかを表す漢字”鄙”(ひな)、その中の意として”鄙中”「ひななか」そして”鄙処”は「ひなか」が転じ「いなか」となった(名語記・日本古語大辞典=松岡静雄)と考えられる。”鄙”とはひなびる・ひなびたの「ひな」であり、「ひなびる」とは、田舎らしい感じがする様。 田舎びる。 野暮である。といった意味で、「いなたい」と同義語的に使われる言葉であり、「鄙びる」は「鄙」名詞+「びる」接尾動詞といった文法で使われていた。
「いなたい」は鄙(ひな)がイナに訛り、「鄙(いな)」名詞+「たい」形容詞として使われていたと考えられる。そして、黒人音楽が日本に普及すると同時に、関西地方で口語的に使われていたこの言葉が、黒人音楽の独特のフィーリングや曲調、ブルースやジャズの「ブルーノート」と言われる独特のコード進行を表すときに、丁度この言葉が当てはめられたのではないかと考えられる。そして、急速に全国に広まったのではないかと考えられる。ただ、人によって使い方や指す対象がまちまちなので、この音がいなたいとは一概に言い切れない。総じて黒人音楽、黒人音楽風の事を指す事ではある。
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