レコード買取を経験したひとなら分かるでしょうが、売ってはじめて知ることってありますよね。例えば、どんなものに高値の査定額がついたかとか、逆に安かったかだとか。あるいは、そもそもレコード買取は思っていたよりラクだっただとか。「予想していた通り」ということもあるでしょうが、よほどレコードに造詣が深い方でなければほとんどが未知の領域であるはず。そんななか、過去 私が個人的に<レア盤>レコードを売却して知ったことがあります。<レア盤>とは珍しい作品、希少なレコードのことをいいます。中古市場で出回るときには他のレコードと比較してもグッと高い金額で取り引きされることが多々あります。
そんなレア盤の買取について、私がレコードを売って知った体験談をこの記事にまとめました。買取を検討している皆さんの参考になりますように。
文:福田俊一(Ecostore Records)
レア盤とは?
まず、<レア盤>という言葉は一体 何でしょうか。盤というだけあり、ディスク形状のものを指すため珍しいCDもレア盤と呼びますが、ほとんどの場合は珍しいレコードのことをいうようです。そこで、筆者は《レア盤 とは》とインターネットで検索してみました。見つかったネット記事では、「レア盤は値段が高価なもの。希少性が高く、人気もあるのが条件」とあります。つまり、ただ単に珍しいだけではレア盤にはなり得ないとのこと。希少でありながら、それでいて需要が高い中古レコードとなってはじめてレア盤になるのです。
例えば、いまあなたの手元にひとつのレコードがあるとしましょう。年代物の作品ですが、当時 300枚しか製造されなかったもの。レア盤かどうかの観点からみると、希少性が高いことはクリアしています。しかし、もし<人気がなく、誰も知らないレコード>ならレア盤とは呼べません。高い人気と需要があるからこそレア盤として知られ、高額で売買されるわけです。
レア盤じゃない = 希少性が高い+人気が低い
レア盤である = 希少性が高い+人気が高い
私が売ったレア盤はたとえば…
筆者は中古レコード買取店に入社したほどなので、当然 レコードが大好きです。これまで数え切れないほどのレコードを手に入れて、最大で2,000点ほど所有していました。特に、私が集めていたものはモダンジャズのオリジナル盤。リリース当時の貴重なものが多く、大枚をはたいて購入したものばかり。例えば、キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』のUSオリジナルだとか、ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビイ』のUSオリジナルだとか。1枚あたり数万円の価値を持つものがいくつもありました。
ジャズのレア盤は価格もケタ違いで、1950年代、60年代の希少なレコードだと中古市場ではとても高い金額で取り引きされています。なんと1枚 50万円以上もするお宝もあるんです。実際に下記のレコードを査定してもらうと、さすが珍しくも人気が高いタイトルであるだけあり、それぞれ5桁の金額を優に超える高額で見積りしてもらえました。ただ、同じこの2作品のレコードであっても、国内盤(日本盤)だったり再発盤(リイシュー)であったら査定額はまた変わってゆきます。骨董品のような価値をもつオリジナルだからこそ、買取でも高く評価されたのです。
Cannonball Adderley / Somethin’ Else(Blue Note BLP1595, 1958年)
Bill Evans / Waltz For Debby(Riverside RLP399, 1962年)
レア盤を売ってわかったこと
レコードを売った私の経験上、レア盤の本当の価値を見出してくれるのはやはり専門知識豊富な中古レコード買取専門店です。これが<レコード専門外>の買取業者では、「これにはこんな貴重な価値があるのだ」と理解してくれないでしょう。なぜなら、レコードは実は奥が深い、とてもディープな世界だから。骨董品を売るなら骨董品に充分なほどの知識がある買取業者、レコードを売るならレコードの専門知識がある買取業者に任せるのが賢いと思います。レア盤を知っている買取業者だからこそ、レア盤を正当に評価し、高い査定額を見積もってくれる。珍しく、価値あるレコードを安心して売れる業者を見つけることが重要なんです。
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筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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