レコード買取では商品の保存状態以外の要素も評価されます。例えば、付属品が残っているかどうか、人気があるかどうか、希少性は高いか低いか、だとか。専門店のようなレコードのプロは一律○○円といった査定方法は絶対にしません。プロには分かる色々なポイントを鑑みて、「これなら■■円で買取できる」と総合的な評価をして判断するのです。
今回は筆者である私の過去のレコード買取してもらった体験談をご紹介。高く買取されたレコードにはどんな共通点があったのか解説します。
文:福田俊一(Ecostore Records)
レコード買取で値段がつくもの vs 値段がつかないもの
レコードに限らず、中古品の買取においてはどんなことが評価されて値段がつけられるのでしょうか。売り手(持ち主)にとっては大事に扱っていたものであることには変わりなく、年季がはいったものにこそ愛着が沸くものです。でも、期待していた/期待していなかったことで良くも悪くも「査定額を見てびっくりした」なんてこともあるでしょう。実は、レコードの買取では作品によって査定額が異なります。まったく同じレコード作品であっても製造年が違えば価値は変わります。買取とかんたんにいっても、とても奥が深い世界なんです。
レコード買取の査定ではまず<保存状態>が評価されます。当たり前ですが、いくら人気が高いものであっても盤面にヒビが入っていたり、割れているものは買取業者からしても売り物にはなりません。レコードの大敵はキズや反りであり、ジャケットには染みやカビが目立つように、まるで生き物のように経年劣化してゆきます。解説書や帯など、元々ついていた付属品が残っていることも高価買取されるには重要なポイント。つまり、良い保存状態の美品であればあるほど、高い買取額が予想されます。ただし、そのためには他の評価要素もカギを握ることに。
次の評価項目となるのが<中古レコードとしての人気と需要>です。新品のようにピカピカのレコードであっても、「市場で誰も欲しがるひとがいないほど無名で不人気」ならやはりこれも売り物にはなりません。需要があるレコードは多いのですが、民謡や小唄といった音楽ジャンルは人気が低く、残念ながら買取ではお値段がつかない傾向にあります。また、有名なアイドルのレコードも中古市場では在庫が溢れかえっているものがあり、需要が低いため値段がつけられないことも。もし査定時に期待外れの値段が見積もられて納得いかない場合、無理に業者に譲らず、なおかつ捨てずにご自身のもとで大切に保管しておくことをお勧めします。レコードには大切な思い出が宿っています。
そしてもうひとつ、買取で評価されるのが<希少性>。希少性は目に見えないものですが、侮ってはいけません。歴史上わずか1,000枚しか製造されなかったレコード、一方で大ヒットして100万枚を売り上げたレコードのこの両者では希少性は桁違いなんです。作品にもよりますが、この2つだと意外にも「希少性が高い(珍しい)レコードのほうが高い価値を持つ」なんてことが往々にしてあります。当然、当時売れた人気歌手のレコードのほうが高くなるだろうと思うでしょうがわからないものですね。売ろうと考えたとき、あなたがお持ちのレコードの希少性がご自身でわからなくてもご安心を。レコードの専門家=買取専門店スタッフが買取のときに適切に評価します。
\高価買取されるのはこんなレコード/
ポイント3つ:「保存状態が良い/人気・需要が高い/希少性が高い」
高く買取されたものは共通点3つを満たすレコード
中古レコード店で私が買取してもらったうち、高く買取してもらったものは<状態が良く/人気・需要が高く/希少性が高い>レコードでした。なかには数年前に新品で3,000円ほどで購入したレコードなのに、その後 人気と需要がグングン高まったようで2万円近い金額で買取してもらえたものもあって驚きましたよ。例えばまさしくそのレコードも「買ってまもない=保存状態良い」「市場で人気・需要が高まった」という要素をクリアしていたほか、その1枚が初回限定生産盤だったため「限定盤=希少性が高い」という要素も満たしていたようなんです。これにはレコードに多少詳しい私も予想外でした。
レコードは信頼がおける買取業者であれば適切な評価を期待できます。買取実績や得意な音楽ジャンルは店によっても異なりますが、レコードの知識には長けているので安心して買取を任せましょう。中古レコード買取業者選びのキーポイントは信頼度です。サイトを見て下調べしたり、ネットで利用者の口コミを見たりして「自分の大切なレコードを託せるか」をよく見極めてください。ただし、レコード専門外の業者は「1枚につき100円買取だから10枚すべてで査定額は1,000円」といった査定方法をするところもあります。そういう査定では作品個々の価値(保存状態/人気・需要/希少性)は評価されていないので、私個人的には利用をお勧めしません。
「餅は餅屋」ということわざがあるように、中古レコードの買取は中古レコード買取専門店に依頼するのがベストでしょう。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
※本サイトに掲載されている記事の著作権はFTF株式会社に帰属します。投稿した記事のリライトの可能性が高い場合は顧問弁護士と協議の上、即日中に法的な処置を行いますのでご了承ください。