近年インターネットで物を売買する機会も増え、個人情報と接することも以前と比べると多くなりました。いまは企業のあいだでも個人情報を保護する必要性が声高に叫ばれる時代。私たちのプライバシーはいつでも危険に晒される可能性がある、という表れでもあります。
エコストアレコードの母体であるFTF株式会社は中古レコード店を渋谷に2店、下北沢、米国ニューヨークにてそれぞれ店舗を展開するほか、松濤において買取専門店である当店を運営しています。2016年に厳密な審査を経て、FTFは個人情報を適切に管理している証であるプライバシーマークを取得。これは中古レコード業界としては初のことでした。今回はその代表取締役社長である武井進一にインタビューを実施。日々 多くのお客様と取引をするなかで、個人情報を守るために企業としてどのような対策をしているか話を聞きました。
聞き手・文:福田俊一(Ecostore Records)
― まず、どのような経緯でプライバシーマークを取得したのですか?
中古品を取り扱う全ての業者には、大切なお品物を買取する際に必ず古物営業法という法律にのっとりお客様の個人情報をお預かりする義務があります。これは、適切に守らない業者から毎年逮捕者が出るほど重い法律です。しかし、これまでほとんどの中古レコード店での店頭買取では、受け付けの際に会話や電話口での通話内容、荷物の伝票からも個人情報が漏れる恐れがありました。
個人情報やプライバシーに対する意識が年々高まるなか、個人情報保護の重要性を鑑み、2012年1月、弊社は業界初となる中古レコード/CD専門の買取センターであるエコストアレコードを渋谷区松濤にオープンしました。
リユース、リサイクル業界では個人情報をよく取り扱いますが、プライバシーマーク制度(※以下 Pマーク)が注目されるなか、さらに徹底的に管理するため2019年1月に業界としては初めて導入に踏み切ったのです。お客様の大切な個人情報を取り扱う仕事であるだけにPマークがないと絶対ダメだと。しかし、準備をしてわかったことなのですが、社内の整備や管理体制の再構築が非常に大変でした。それだけに現在でもレコード業界では弊社が唯一の認定企業であり、残念ながらPマークの存在すら知らない同業者も多いのではないでしょうか。また、個人情報を社外に漏らしたりしないようスタッフの意識を高める意味でも取得すると決断しました。
― FTFとして、個人情報を守る大切さをどのようなところに感じていますか?
先ほど述べたように、古物営業法は1年に何人か逮捕者がでるような重い法律です。しかし、法律があるのにもかかわらずしっかりと守っている会社とそうでない会社があるのも事実。つまり、守らないところは個人情報を軽視しているところです。今年(2022年)は大手中古レコード店において70万件にも及ぶ個人情報が漏洩した事件がありました。こちらの店もPマークは取得していません。だからこそ、「FTFではこれくらい厳しく守っている」と証明したい。また、興味深い話としてはアメリカやイギリスには古物営業法に準ずるものが一切ありません。「(個人主義の国だから)自分のものを売るのになぜ証明書がいるのか?」という風潮。まさに日本との文化の違いですね。しかし、FTFとしてはもちろん今後もPマークを更新してゆくつもりです。
― 弊社では従業員にもPマークに関する教育がなされていますね。
これまで情報漏洩などの事故は一切発生したことはありませんが、これからも社内スタッフがお客様の情報を持ち出すことがあっては決してなりません。そうならないための教育です。弊社では管理を徹底してゆきます。引き続き、セキュリティー対策を重視し、古物営業法や個人情報保護法、マイナンバー関連法案などが改正された場合にはスピーディーかつ柔軟に対応してまいります。
※本サイトに掲載されている記事の著作権はFTF株式会社に帰属します。投稿した記事のリライトの可能性が高い場合は顧問弁護士と協議の上、即日中に法的な処置を行います。