中古レコードを買取して手放した方はこんな経験があるでしょう。「査定額が予想より高かった」、もしくは「安かった」。「もっと高く売れると思ったんだけどな」なんて考えたこともあるはず。でも、高い安いに限らず、ただ損得で考えるなら、それは実際にご自身で売ってみないとどうなのかは分かりません。中古レコードは<時代遅れの音楽ツール>なのではなく、<骨董品のような価値あるもの>。不要なものだからといってむやみやたらに廃棄処分してはもったいないものです。
それでは、不要なレコードを手放す際にどんなことを知っておくべきか、買取専門店スタッフの私の個人的な体験談をもとに皆さんにご説明しましょう。
文:福田俊一(Ecostore Records)
知っておくべきポイント1:中古レコードの価値
まず、皆さんに知っておいてほしいこととして、中古レコードには<価値の大小があること>が挙げられます。個々人によって思い入れのある大切なレコードは千差万別ですから、価値の大小と表現してしまうと誤解を招くかもしれませんが、ここでいう価値とはつまり《中古品としての値段》のこと。世の中には値段がつかないレコードもあれば、信じられないほど高額で取り引きされるレコードも存在します。つまり、中古レコードは一律の金額で買取されるものではない、ということ。これは美術品でも同じでしょうし、古本や古着でも同じことがいえるでしょう。
まとめると、「中古レコードの価値はそれぞれバラバラだ」だということです。
知っておくべきポイント2:相場は変動する
次に、中古レコードの相場は変動するということを知っておいてください。それでは一体何が変動するのか?それは中古レコード全体の値段が上下するのではなく、作品ごと、種類ごと、または音楽ジャンルによって人気の上がり下がりがあり、それに応じて市場相場が変動してゆくことがあります。
例えば、10年前に人気が高まって相場が上昇していた歌手のレコードも、それからずっと上がり続けるかというとそういうものでもなく。必ずいつかは人気が落ち着き、それに伴い中古レコードとしての値段も下がってゆきます。逆に、シティポップのように、以前 人気が低く値段が安かったのに近年人気が高まり、レコードの値段も上がったものもあります。
かんたんに説明するなら、中古レコード市場の相場はまるで株価のように上下を繰り返して時代が進んでゆくのです。
知っておくべきポイント3:中古レコードの鑑定はムズカシイ!
最後のポイント、それは<中古レコードの鑑定は容易ではない>ということです。1枚のレコードがあなたの目の前にあったとして、その価値と値段をしっかりと見極めることは実は至難の業。決してかんたんではありません。充分な鑑定にはディープな専門知識を持ち合わせていて、なおかつ鑑定の経験も重ねていることが必須。実物をパッと目視だけで価値と値段を言い当てられるようになるには熟練のスキルが必要なんです。
レコード買取の査定では、単にその作品の人気を調べるだけでなく、需要や希少性など様々な要素を鑑みる必要があります。同じ歌手の同じレコードであっても、<青い帯はよくあるがピンク色の帯は珍しい>などデザインの違いによって価値が変わる場合も。まさに帯の種類ひとつとっても、製造年が数年ずつ異なることがあり、中古レコードの価値を決める要素である《希少性》が金額に反映されることになります。
しかし、鑑定に必要なそういう着目点が分かるようになるには中古レコード買取店の査定スタッフのような知識と経験が必要ということなのです。
レコードを手放してみて私が知ったこと
私が過去にレコードを売却した経験から得た教訓としては、不要なレコードは「リサイクルショップに売るのではなく、中古レコード買取店に売るのがベストだ」ということ。知識豊富な中古レコードの専門家に鑑定を任せて、買取をお願いすれば損はないでしょう。なぜなら査定スタッフは音楽やレコードの知識に長けていて、鑑定のプロでありレコード買取のプロであるわけですから。中古レコードの本当の価値/値段というのはそれに詳しい人間でないと分かりません。レコード買取を依頼した方なら知っているでしょうが、意外な作品が高く買取されることもあります。もちろん、高価買取されるには<市場で人気が高い・希少性が高い>などしっかりとした理由がありますから、そういったことはやはり専門家のみが知っている情報です。
私が過去に買取してもらった経験からも、レコードを売るならその手のプロ、中古レコード買取店が良いと思いますよ。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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