レコード買取業に携わっていると、名盤と賞賛される作品にしばしば出くわします。お客様が音楽好きであるように、私たち従業員も大のレコードファン。その音楽とレコードとしての価値を分かっているので、実物を手にするだけで心が震えるような気持ちがうちから湧き上がってきます。「ひとつの傑作として後世にも語り継いでゆきたい」と思えるものは世の中にごまんとあります。ここでそんな感動を与えてくれるレコードを1点ご紹介。
こんな1枚、あなたのご自宅で聴かれずに放置されていませんか?
文:福田俊一(Ecostore Records)
キャンプ・ロー『アップタウン・サタデー・ナイト』
Camp Lo / Uptown Saturday Night(Profile, 1997年発表)
Camp Loはニューヨーク・ブロンクス出身のSonny ChebaとGeechie Suedeからなるヒップホップデュオ。97年に発表したデビューアルバムが本作『Uptown Saturday Night』でした。パッと見てどこかで見覚えのあるジャケット。そう、アートワークはマーヴィン・ゲイの76年発表アルバム『アイ・ウォント・ユー』でのアーニー・バーンズのイラストを彷彿とさせます。本作のジャケットをデザインしたのはグラフィティ黎明期から活動するアーティスト、Dr. Revoltという人。米国の音楽専門TVチャンネル<MTV>のヒップホップ番組「Yo! MTV Raps」、彼はあのロゴをデザインした人物でもあるんだそうです。
楽曲はといえば、作品の大半をプロデュースしたのがSkiことSki Beatzであり、ゲストMCにはデ・ラ・ソウルからトゥルーゴイ・ザ・ダヴも参加。どれも良い時代の色香漂わせる素晴らしいビートですが、中でもカーティス・メイフィールドの「トリッピン・アウト」をサンプリングした「Black Nostaljack AKA Come On」のほか、「Luchini AKA This Is It」、ジャズヴィブラフォン奏者カル・ジェイダーの「レイト」を元ネタにした「Sparkle」といった曲の人気が高く有名。ヒップホップ黄金時代といわれる90年代に産み落とされた本作、内容の良さは当時もいまも音楽ファンが保証済みです。
ヒップホップのレコード、買取額が高くなっている
ヒップホップにとって黄金時代といわれる1990年~2000年代。当時レコード店で新譜として購入し、最近こそ聴きはしないが今もまだ持っているなんて方もきっといるでしょう。すでにCDが主流になった時代に盛り上がりをみせたヒップホップという音楽ジャンルは、CDでこそ入手しやすいのですが、レコードはCDほど多くの量は生産されませんでした。そのため、20年以上が経った今、劣化しやすいレコードがまだ保存状態よく残っているのであれば、それは中古品としての価値は以前よりはるかに高まっています。海外を中心に中古レコードの価格相場もここ十数年で上がってきました。そうであればレコード買取の場面でもきっと高く評価されるでしょう。
昔 聴いたけど今はもう聴かないヒップホップのレコード、ご自宅で放置されていませんか?その1枚、エコストアレコードが高値で買取します。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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