邦楽のレコードと聞いて、どんなものを思い浮かべますか?買取で注目される邦楽には何があるでしょう。ロック、現行アーティストのポップス(J-Pop)、70年~80年代のポップス、グループ・サウンズ、フォーク、アイドル、歌謡曲、演歌。邦楽といっても色々なジャンルがあります。美空ひばり、EGO-WRAPPIN’、椎名林檎、テレサ・テン(鄧麗君)、江利チエミ、宇多田ヒカル、サザンオールスターズなどなどたくさんの素晴らしいミュージシャンがいますね。
今回はその邦楽のレコードのなかで、特にどんなものが高価買取されやすいかお話します。
文:福田俊一(Ecostore Records)
アナログレコードは”時代遅れ”なものではない
世界中でレコードブームが再燃しているといわれる昨今、アナログレコードの売上が伸びているというニュースも聞くようになりました。現行のアーティストがCDやストリーミング(音楽のインターネット配信サービス)だけでなく、アナログ盤でも新作を同時発売するというのもよくあることです。いままで遠い過去の存在のように感じられていたレコードが私たちの21世紀の生活スタイルを変えつつあるのかもしれません。若い世代の人たちもプレイヤーさえ入手すればいくらでも昔の音楽をレコードで身近に楽しめるようになりました。中古レコード専門店でも若いカップルが笑顔でレコードを見ていたり、黙々と熱心にレコードを探している若い人たちもよく見かけます。レコード熱は若い世代にとどまらず、かつて流行している音楽のレコードをよく買って聴いていた50代以上の世代の人たちもレコードをまた楽しむようになりました。
若い人たちと違う点は、昔の貴重で高価なレコードを求める方が多いことでしょうか。インターネットでありとあらゆる情報が気軽に入手できるようになった今、色々な世代の人たちにそれぞれの音楽の楽しみ方、レコードの嗜み方がきっとあることでしょう。
シティポップが世界に与えた”新しさ”
近年、日本のシティポップという音楽ジャンルが世界中で大人気です。あまり聞きなれない言葉ではありますが、一体どのようなものなのでしょうか?シティポップとは1970年代後半から80年代にかけて日本で流行した 都会をイメージさせるファッショナブルなポップスのことで、AORと呼ばれていた音楽のことです。当時はシティポップというジャンル名こそ頻繁には耳にしませんでしたが、これらの音楽がDJなどによって”発掘”されてきました。80年代のディスコ風なアレンジが施された楽曲の存在もDJに好んで選曲されブームを助長した一因でもあります。2010年代に入ったころから確実に再評価の波が大きくなってきています。その大きな波はとどまることを知らず、世界中の音楽ファンをも巻き込んでゆきました。インターネットが普及して以前よりも楽に情報を入手出来るようになったことから、最近では日本のシティポップのレコードを収集する海外のファンも劇的に増え、日本の中古レコード専門店までシティポップのレコードを買い求めに来ることも普通になってきました。
シティポップは気が付けば巨大なブームとなっており、日本のみならず音楽シーンにおいて確固たるジャンルとして確実に成長しています。
シティポップを代表するアーティストたち
・亜蘭知子
・杏里
・大滝詠一
・大貫妙子
・大橋純子
・角松敏生
・来生たかお
・佐藤奈々子
・シュガー・ベイブ
・竹内まりや
・寺尾聰
・中原めいこ
・はっぴいえんど
・ブレッド&バター
・細野晴臣
・松任谷由実
・松原みき
・間宮貴子
・矢野顕子
・山下達郎
・吉田美奈子
シティポップ大人気作品はコチラ!
山下達郎 / FOR YOU (AIR RAL-8801)
通算6作目のスタジオ・アルバム。吉田美奈子、佐藤博など参加。「SPARKLE」、 「LOVE TALKIN’」収録の大傑作です。イラストは鈴木英人氏。※こちらのLPには元から帯はありません
山下達郎 / FOR YOU (AIR RAL-8827)
こちらは同じFOR YOUでも、中古廃盤としては通常盤よりも高額になるピクチャーレコード(ピクチャーレコードとは黒い盤のレコードではなく写真・イラストの上に溝があるタイプのレコード)。
稀少です。
竹内まりや / ヴァラエティ (MOON MOON-28018)
84年リリース。大名曲「PLASTIC LOVE」収録で、人気盤故に中古市場での相場もこれから上がってゆくと思われます。山下達郎プロデュース作品。
大貫妙子 / SUNSHOWER (PANAM GW-4029)
77年リリース。「都会」をはじめ、「くすりをたくさん」など人気曲を多数収録しています。細野晴臣、山下達郎、坂本龍一など参加。
杏里 / タイムリー (FOR LIFE 28K-63)
83年作。角松敏生参加の人気盤です。
菊池桃子 / アドベンチャー (VAP 30183-28)
86年作品。このようなアルバムが今も人気があるのは知らなかったのではないでしょうか?
吉田美奈子 / 扉の冬 (SHOW BOAT 3A-1004)
73年作。細野晴臣、吉田美奈子、吉野金次がプロデュースで、キャラメル・ママがバッキングを担当。 吉田美奈子の傑作デビュー・アルバムにして歴史的名盤です。
荒井由実 / ひこうき雲 (EXPRESS ETP-9083)
73年作品。 細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫、キャラメル・ママがバックを支えた1stアルバム。上の画像にもある銀色の帯のものは非常に珍しく、買取価格も高値になります。
佐藤奈々子 / スウィート・スウィンギン (BLOW UP LX-7033-A)
77年作品。佐野元春との共作で、横内章次がアレンジ。ビッグ・バンドやボサ・ノヴァの影響も感じられるメロウで心地よい名作シティポップです。
邦楽のレコードを売るなら、今!
邦楽のレコードの中には、シティポップ以外にも高額で買い取りできるものは実はかなりあります。帯付き、解説書が残っているような保存状態が良好なものであれば尚更買取価格も高くなる可能性があります。もう聞かなくなったどころかご自宅もしくはご実家の押入れの奥で眠っている邦楽のレコードがあるならば迷わず中古レコード買取専門店へ売ることをお勧めします。状態をチェックして、予め拭いたりして汚れを落としておいてから買取依頼をお申込みになるのが高額査定へ繋がる知る人ぞ知る大事なキーポイントです。このレコードブームと、シティポップがかつてないほどの熱を帯びている事実を踏まえて、まさに今が売り時と言えるでしょう。世界規模での人気というのは、実は侮れ(あなどれ)ないことなのです。国内だけの需要であればそのマーケットを見ての買取価格にしかなりませんが、海外からも欲しいと手が上がるのであれば自然と買取価格も強気になります。
買取価格にある程度の上がり下がりがあるのも中古レコード市場には付きもので、以前であれば大した額にならなかったものでも今なら高い金額での買い取りが可能です。邦楽のレコードを売るなら、迷わずエコストアレコードまでご相談ください。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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