レコードを聴いていて音飛びした時の何とも言えない悲しさ、あなたもご存知ではないですか?流れている音楽が数秒間先へすっ飛んでしまうタイプの針とびもあれば、同じところを繰り返すタイプの針飛びの二種類があります。しかし、針飛びするからといってすぐに絶望感を感じる必要はありません。実はまだ修復できる可能性があるのです!その直し方をここであなただけに教えましょう。
文:福田俊一(Ecostore Records)
方法1:ターンテーブルの針圧を増してみる
針飛びする要因の一つとして「針圧が軽すぎる」ということ考えられます。イメージとしては、針先でレコード盤を押さえつける力が不足しているがために、プレーヤーで回るレコードに跳ね返されてしまっているという具合。必ず針飛びが改善されるとは限りませんが、最も手軽・効率的な方法と言えるでしょう。ターンテーブルで設定した針圧を一旦ゼロから再び設定しなおしたり、以前の針圧より0.5g~1g増やしたりしてみるだけでもだいぶ変わってくるかもしれません。
レコードプレーヤーの針圧設定のしかたは以前エコストアレコードのコラムでもご紹介したのでぜひご覧ください。
→レコードのコラム「レコードプレーヤーの針圧調整の仕方教えます」
方法2:つまようじで直す
レコードにとって大敵なもの、それはずばりキズです。キズが原因で針飛びも起こしてしまうことも多々あります。
「キズがレコードのミゾを変形させてしまったようだ…」
それなら再びレコード針がミゾを通れるように開通させてあげましょう!
■用意するものはつまようじ
準備するものはつまようじ一本。先が鋭利な金属ですとレコードのミゾにはあまり好ましくなく、悪い痛め方をしてしまうことがあるので避けるようにしてください。つまようじであれば柔らかく確実にビニールでできているレコード盤を修復できます。
■ミゾに沿って優しくなでる
「つまようじでレコード盤を引っ?くなんてそんなこと…」と思うのではないでしょうか。でも手元の力加減さえ気を付けていれば深刻なキズをさらにつけてしまうことはあまりありません。
大切なことは以下の3点です。
・つまようじを動かす際にはレコードのミゾに沿って同じ方向になでる
・丁寧になでる
・優しくなでる
1.レコードプレーヤーで再生してみて、ラベル部分も視界に入れながらラベルのデザインの大体どの辺りで針飛びするかを認識しておきましょう
(プレーヤーを再生させずに停止した状態でどういう針飛びをするかチェックしてみても良いと思います)
「SIDE 2と印刷されている辺りかな」などとキズの場所を覚えておきましょう
2.盤を手に取ってみて、目視でキズがどの程度か・どこにあるかを確認しましょう
(キズが分かりにくい時は虫眼鏡を使ってみましょう)
3.つまようじでミゾに沿うように優しくなで、問題がある箇所を開通させてあげます
4.再びプレーヤーで再生してみて針飛びが改善しているか確認してください
5.針飛びが直っていない、もしくは改善されていないのであれば ③~④の作業を繰り返してみましょう
※注意点:例えつまようじであっても過度に余計なキズをつけてしまうことはもちろん好ましいことではありません。同じ箇所を延々となでていれば当然レコードはますます痛んでしまいます。あくまで『もう正常に聴くことができないレコード』を「まだまだ聴けるレコード」にするという程度の期待を込めて修復を試みてください。
まとめ
今回紹介した針飛びを直す方法2つ、いかがでしたか?つまようじを使う方法は自己責任で行うものではありますが、そうすることで直ることが案外多くあります。
何回も繰り返し聴いていたレコード、曲のどのメロディーのあたりで針飛びしてしまうか覚えていませんか?「トランぺッターのソロが始まって少し甲高い音を出す3回目のところ…ここで針飛びしちゃうんだよな…」。勇気を出して、つまようじでなでてみて針飛びが直るかどうか挑戦してみてください。きっとレコードもあなたが音楽を楽しむ顔をまた見たいはずですよ。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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