レコードプレーヤーの針圧を調整する方法を知らない方は意外と多くいます。「レコードを買ったはいいものの、自分のターンテーブルで再生してみたら針飛びしちゃう!新品のレコードなのに…」なんて困っている方もいるのではないでしょうか。でも安心してください。レコードそのものが極端に反っていたり、プレスされた時点からの不良品(プレスミス)でなければほとんどのケースは適正な針圧を設定することで解決すると考えられます。
文:福田俊一(Ecostore Records)
針圧ってそもそも何?
針圧とは、レコード針がレコードを下方向に押さえつける”重さ”のことです。
使用するカートリッジや針の種類などにもよりますが、針圧を重めにすることによってある程度針飛びを回避できるようになったり、音楽の重低音が増すことにより耳で聞こえるチリチリ・パチパチというノイズを比較的少なくできるようになるなどのメリットがあります。一方、針圧を上げる(重くする)ことのデメリットとしては針が盤を強くこすってしまう為 レコード自体をより早く摩耗させてしまうことです。
モノラル盤はモノ針で再生すると迫力が増す
針圧が大事な例としてステレオ針とモノ針の違いがあります。
近年のレコードはもちろんステレオ針で聞きますね。しかし、録音時期が古いレコード(1960年代くらいまでのもの)はモノラル盤が多いのですが、モノラル盤の再生専用にモノ針というものがあります。モノ針はステレオ針と形状が異なりモノラル音源が記録された盤面の溝に対してフィットすることにより、ステレオ針で再生するよりも迫力ある音が期待できるのです。ノイズも圧倒的に軽減します。
モノ針は通常ステレオ針よりも重めの針圧で再生します。
つまり、軽すぎず重すぎず、使用しているカートリッジで推奨されている正しい針圧でレコードをかけることがとても大切なのです。
針圧調整をしてみよう
針圧調整はやり方さえ覚えればどなたでも簡単にできます。
今回はSTANTON社製「500 AL II」というカートリッジを使用して調整する方法を紹介します。このカートリッジの適正針圧は2.0~5.0グラムです。
試しに針圧を3グラムに設定してみることにします。
1. ゼロバランス調整をする
バランスウェイトをくるくると回して調整し、まるで平均台のように、針の部分とバランスウェイトがちょうど平行に釣り合うようにします。
トーンアームと呼ばれるパイプが平行になりました。現時点で針にかかっている重さは0グラムです。これをゼロバランス調整といいます。
2. 針圧目盛を0にする
次に、ウェイト部分の少し手前にある針圧目盛を0に合わせます。
このときにウェイトに手を触れないようにしてください。触ってしまうとゼロバランスではなくなってしまうからです。
3. 再びバランスウェイトごと回して、目盛を見ながら正しい針圧に設定する
今度は逆に針圧目盛を触らないようにして、目盛が設定したい針圧を指すまでバランスウェイトを回してください。目盛りの単位はグラムです。
針圧を3グラムにしたいので、目盛がこのように示すまでゆっくりと回しましょう。
ここまで出来れば完璧です。後はレコードに針を落とせば素敵な曲が流れます。
まとめ
どうでしたか?案外簡単だったのではないでしょうか。ゼロバランスにする作業に慣れてしまえば、どなたでも楽に針圧を適切な重さに調整できると思います。正しい範囲での針圧調整であればレコードに余計な負担をかけたり傷めたりすることはありません。
より良い音質でレコードを楽しんだり不要な針飛びを防ぐために、針圧調整をマスターできるようになればあなたのレコードライフももっと華やかで幸なものになるかもしれませんね!
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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