数多のジャズレコード作品が世の中にある中で、異彩を放つアーティストがサン・ラ(Sun Ra)です。彼の貴重なレコードは買取においても高価になります。
大所帯の自分のバンドを率いて、奇抜な太陽神のコスチュームに身を包んだサン・ラはピアノ、電子オルガン(彼はスペースオルガンと呼んでいた)、そしてシンセサイザーを奏でます。「土星から来た」と言う彼が生み出した作品の多くには、宇宙を連想させる言葉がタイトルに。まさにアフロ・フューチャリズム(アフリカ系アメリカ人アーティストによる宇宙思想)の代表格といえる存在です。また、彼の作品は大手レコード会社からのリリースばかりではありません。エル・サターン(El Saturn)という自分自身の小さなレーベルからの作品、つまり自主制作盤ともいえるリリースが多くあるため、今となってはコレクターズ・アイテムの宝庫となっています。
そのため、サン・ラ人気の上昇と相まって、彼のレコードの価格が大変高騰しているのです。サン・ラのレコード作品には非常に価値の高い、高価なものが多くあります。
ジャズのレコード、特にサン・ラのレコード作品を手放そうかお考えの方にエコストアレコードが買取をお勧めします。
文:福田俊一(Ecostore Records)
謎多きジャズミュージシャン、サン・ラとは
サン・ラの正式な名前はLe Sony’r Raといい、出生名はハーマン・プール・ブラウント(Herman Poole Blount)。作曲家、バンドリーダーであり、ピアノとシンセサイザーなど鍵盤楽器を演奏しました。奏でる音楽は実験性に富んでおり、彼が持つ宇宙哲学と披露するパフォーマンスの数々は他のミュージシャンにはない非常に独特な感性によるものです。もう一つの特徴は、オーケストラと箱舟(ark)を掛け合わせ名付けられた「アーケストラ(The Arkestra)」という彼の大人数バンドです。時代によってメンバーの変更こそありますが、そのユニークな名前と音楽スタイルは変わることがありませんでした。
サン・ラは1914年アラバマ州バーミンガムにて誕生。子供の頃からピアノが上手で、11歳、12歳の時には作曲もするようになったうえ、楽譜の初見歌唱をすることも出来たそうです。十代になると天賦の才能を発揮するようになり、ビッグバンドの演奏を見に行っては聴いた楽曲を思い出して譜面を書き写していたとのこと。十代も半ばになるとソロピアノ奏者としてのセミプロ活動を開始し、色々なジャズ/R&Bグループのメンバーとしても活動するように。1936年には アラバマ農業機械大学で奨学金を得て音楽教育を専攻。作曲、オーケストレーションや音楽理論を学びましたが僅か1年で退学してしまいます。1940年代になるとシカゴへと移住。1948年、サン・ラはコールマン・ホーキンスらとトリオを結成し演奏し活動。その後、長年のパートナーとなるトミー・”バグス”・ハンター(ds)とパット・パトリック(sax)と共に、スペーストリオと名付けた彼自身のトリオを組みます。そして1952年10月に彼は法律上の氏名をハーマン・プール・ブラウントから『Le Sony’r Ra』へと改名。1950年代半ば、サン・ラは彼のマネージャーであるオルトン・エイブラハムと共に自身のレーベル、エル・サターン・レコード(El Saturn Records)を設立。同レーベルからは『スーパー・ソニック・ジャズ(Super-Sonic Jazz, 1957年作)』、『ジャズ・イン・シルエット(Jazz in Silhouette, 1959年作 )』という2作品を筆頭に数々の作品を発表しました。そんなサン・ラにとっての初リーダー作は、音楽プロデューサーだったトム・ブラウンのジャズレーベル、トランジションへ1957年に吹き込んだ『ジャズ・バイ・サン・ラ(Jazz By Sun Ra)』。この作品を皮切りに、その実験的な音楽性と独特な世界観は1980年代にリリースされたレコード作品まで一貫して続いてゆきます。(CD作品は1990年代までリリースされた)
また、1950年代終わり頃からサン・ラとアーケストラの面々はエジプトとSFをモチーフにしたような一風変わった衣装に身を包むように。これには意味があり、古代エジプトと宇宙への彼の憧れをこのコスチュームを身に纏うことで表現していたのです。
1993年5月、サン・ラは生まれ故郷バーミンガムの病院で逝去。79歳でした。
気になるサン・ラのレコード作品の数々
サン・ラ / サン・ラの太陽中心世界 No.2 (原題:Heliocentric Worlds Of Sun Ra Vol. 2)(ESP Disk/日本コロムビア, 型番:SMJ-7473)
1966年発表作品。(日本盤は1967年発売)
Sun Ra / 宇宙探求, サン・ラ・イン・コンサート Vol.1 (原題:Nuits De La Fondation Maeght Vol.1)(日本ビクター/Shandar, 型番:SHP-6203)
1971年発表。
1970年8月3日と5日にフランス、サン=ポール=ド=ヴァンスで行われたライブの模様を録音した作品。壮大な宇宙を表現するサン・ラは、モーグ・シンセサイザー、ピアノ、電子ピアノのほか、電子オルガンまでも自分の手と足とするように自由自在に演奏しています。Volume 1と2、アルバム2枚に分かれて発売されました。
Sun Ra / Lanquidity(Philly Jazz, 型番:PJ 666)
1978年発表。
鏡のように銀色に光り輝くジャケットが何とも怪しい一枚。ファンクやリズム&ブルース、またフュージョンの要素も取り入れたアルバムで、サン・ラの初期作品とはまた印象が異なります。本作のレコーディングに参加したアーケストラは、今回もまた17人という大人数構成。
ここ日本でも2000年代初頭に若い世代やDJ向けのジャズ作品が多く載ったガイド本に掲載されたことでも広く知られました。従って、純粋なジャズ愛好家だけでなく、DJからも熱い眼差しを向けられるコレクターズアイテムです。
Sun Ra / Of Mythic Worlds(Philly Jazz, 型番:PJ 1007)
1980年発表。
Sun Ra / Sleeping Beauty(El Saturn, 型番:11-1-79)
1979年発表作品。(画像は2005年オランダ Kindred Spiritsからの再発盤)
サン・ラのレコード買取ならエコストアレコードまで
近年のサン・ラ人気は目を見張るものがあり、中古市場でオリジナル盤(初版レコード)は滅多にお目にかかれない希少な存在になっています。彼が表現したスピリチュアルな要素はジャズに深く浸透し、”サン・ラ・ワールド”ともいえるその独特な音楽性は聴くものを魅了してやみません。
レコードは発売から数十年も年月が経つと、廃棄されたり損傷してしまったりと、絶対数は自然と減ってゆく傾向にあります。それは不人気なレコードでも貴重なレコードでも関係ありません。だからこそ、保存状態が良い珍しいレコードの価値はますます高まってゆくのです。サン・ラのレコードも例外ではありません。熱心なコレクターの手元にあるならまだしも、価値が理解されなかったために残念ながら捨てられたものも恐らく過去にあるでしょう。
しかし、そんなジャズのレコード、特にニーズが高いサン・ラのレコードこそ当店が高く買取しているものの一つ。
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当店は査定歴が30年を超え、買取したレコードの総枚数も1,500万枚を突破。NHKニュース「おはよう日本」や読売新聞でも紹介され、これまでメディアでは多数取り上げられています。ご利用になったお客様からも「エコストアレコードに売ってよかった」と嬉しいお言葉を続々と頂いております。
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筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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