「チェット・ベイカー(Chet Baker)のレコード、いくらで買取してもらえるのだろう?」そんな疑問を持ったあなたに良いお知らせです。人気ジャズアーティストの作品は高価買取される可能性があります。
トランペット奏者、チェット・ベイカーは優れた演奏だけでなく、プレイヤーとしては珍しいその類まれなる歌の才能も高く評価されています。”歌がうまい”という言葉では物足りないほど、彼の上手なボーカルは今も昔も多くのファンを抱えるほど。また、まるで俳優のような端正なルックスも彼の魅力の一つです。
彼が残したレコード作品には買取で高額になるものがいくつもあります。そこでどんなレコードが高く売れるのか、チェット・ベイカーというトランペット奏者の素晴らしさを紐解きながらエコストアレコードが解説してみましょう。
文:福田俊一(Ecostore Records)
知ってほしい、チェット・ベイカー(Chet Baker)のこと
あなたはチェット・ベイカーについてどれだけ知っていますか?
ベイカーは1929年、米国オクラホマ州イェールでギター奏者の父とピアノ奏者の母のもと誕生(ちなみに祖母はノルウェー出身)。彼の音楽活動は、教会で歌う聖歌隊として始まりました。父からトロンボーンを与えられましたが、演奏するものはのちにトランペットに変わりました。母が語った話では、ベイカーは楽器を手にする以前からラジオで聴いた曲を覚えていたそう。仲間からは演奏する努力が苦にならない、天性のミュージシャンだとも言われていたそうです。彼は1946年、16歳の時に軍隊に入隊すると、ドイツのベルリンに配属され陸軍軍楽隊に参加した経験があります。
1952年にはジェリー・マリガンのカルテットへ加入。そんな中、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」がヒットを記録、その後の彼のキャリアに多大な影響を与えました。マリガンが麻薬で逮捕され刑務所に入ると、ベイカーはピアノ奏者ラス・フリーマンらを迎えて自身のカルテットを結成。1953年から1956年の間、ベイカーが発表した作品がヒットするようになります。メトロノームとダウンビートという著名な音楽雑誌での人気投票では、マイルス・デイヴィスやクリフォード・ブラウンという大物を上回り、見事に読者が選ぶ第1位に輝きました。1956年にはパシフィック・ジャズから発表した作品『チェット・ベイカー・シングス』の人気もあり、チェット・ベイカーはボーカリストとしてもその名を広めることになりました。
しかし、忍び寄る暗い影が。彼にとってまさにミュージシャンとしての全盛期といえる1950年代、ベイカーは次第にヘロインに手を出すようになったのです。彼の薬物依存は酷く、時には大切な自分の楽器を質に入れてまでドラッグを入手することもあったそう。1960年代にも音楽活動のために訪れていたヨーロッパでも薬物が原因で逮捕・投獄され、追放されたこともありました。
1978年以降、年に1回帰国する以外はヨーロッパを拠点に音楽活動をすることに。イタリアにも滞在する中で、ベイカーは流暢なイタリア語を話せるほどになったそう。1988年、そんな彼の生涯にピリオド打ったものはやはりクスリでした。オランダ・アムステルダム滞在中にホテルの窓から転落、命を落とす残念な結末となりました。調査の結果、彼の部屋と体内からはヘロインとコカインが見つかったそうです。まだ若く、58歳でした。名トランペット奏者、チェット・ベイカーは米国カリフォルニア州にある彼の最愛の父の墓に並ぶように埋葬されたのです。
高価買取されるチェット・ベイカー(Chet Baker)の作品をご紹介
Chet Baker / Quartet(Pacific Jazz, 型番:PJ LP-3)
1953年発表。
発売から70年近く経ち、今となっては大変貴重な10インチレコード。1950年代初頭にキャリアをスタートさせたチェット・ベイカーの作品には、まだ12インチのLPレコードが主流になる以前の10インチアルバムが複数あります。それらをリリースしたのが西海岸を代表するレーベル、パシフィック・ジャズ。本作は、ベイカーとも多くのレコーディングで共になったピアニスト、ラス・フリーマンを迎えての1枚です。
Chet Baker / Sings(Pacific Jazz, 型番:PJ LP-11)
1954年発表。
トランペット奏者、チェット・ベイカーが高い人気を誇る理由の一つに歌の上手さがあります。彼の唄声はどこか中性的で、透き通るような美しさ。名作と呼び声高い本作『チェット・ベイカー・シングス』は1954年に録音された彼の初期作品であり、貴重な10インチレコードでのリリースです。
素晴らしい保存状態のUSオリジナル盤であれば間違いなく高価買取となります。
Chet Baker / Chet Baker & Strings(Columbia, 型番:CL 549)
1954年発表。
本作の特徴は、かつて名アルトサックス奏者チャーリー・パーカーも同じコンセプトでアルバム制作したように、タイトル通りストリングスをバックにレコーディングしていること。ラス・フリーマン、ズート・シムズらと共にベイカーは甘美な演奏を披露しています。名スタンダード「あなたは恋を知らない(原題:You Don’t Know What Love Is)」などを収録。
当店では使用感があるこちらのUSオリジナル盤を5,000円で買取しました。
Chet Baker / It Could Happen To You(Riverside, 型番:RLP 12-278)
1958年発表。
彼のボーカルを前面に出した作品としては、西のパシフィック・ジャズから発表した『チェット・ベイカー・シングス』に対して、東(ニューヨーク)のリバーサイドへの吹き込みとなったのが本作。伴奏を担当したのはケニー・ドリュー、サム・ジョーンズ、フィリー・ジョー・ジョーンズら当時東海岸で大活躍していた名手揃い。美しいラブバラード曲「モア・アイ・シー・ユー(The More I See You)」のほか、モダンジャズファンだけでなくボーカルファンからも人気が高いアルバムです。
当店では経年劣化が見受けられるこちらのUSオリジナル盤を8,000円で買取しました。
Chet Baker / Chet(Riverside, 型番:RLP 12-299)※
1959年発表。
ロマンティックなジャケット写真だけでなく、演奏内容の美しさも際立ち、「The Lyrical Trumpet of Chet Baker(チェット・ベイカーの詩的なトランペット)」という副題が付けられている1枚。ジャズピアニストとしてピカイチの人気を集めるビル・エヴァンスのほか、ハービー・マン、ケニー・バレル、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズら一流ジャズマンが録音に参加。中でもエヴァンス、チェンバース、ジョーンズは当時マイルス・デイヴィスのリズムセクションだった面子。「あなたと夜と音楽と(原題:You And The Night And The Music)」等を収録、その演奏内容は悪かろうはずがありません。レコードでも人気が大変高く、中古市場では今も昔も需要が大きくあります。
当店では状態綺麗めなこちらのUSオリジナル盤を20,000円で買取しました。
※画像は1994年米国Analogue Productions社製の高音質再発盤
チェット・ベイカー(Chet Baker)のレコードを売るならエコストアレコードまで
近年、レコード人気が再燃していると話題になっています。新品のレコードも製造数が増え、以前よりも楽に入手できるようになりました。しかし、中古レコードは新品とはまた違う特殊な価値を持ちます。中古品としての値段や価値はキズの有無によって変わるだけでなく、製造された年代や製造国によっても全く異なります。つまり、査定額というのは決して簡単に判断されるわけではなく、お持ちのレコードの様々な要素が鑑定・評価されて決まるのです。
ご自宅にあるレコード、中古品としての保存状態はどのランクに当たり、いつの時代のもので、どれほどの希少価値を持つものなのか、果たしてあなたに鑑定出来ますか?実際には余程の専門家でなければ到底困難なことです。そうは言っても、不用品回収業者に二束三文で譲ってしまったら、お宝を捨ててしまう行為同然で非常に勿体ないことだといえます。
それでは一体誰に査定を任せれば良いのでしょうか。それは、ずばりレコードの専門家です。エコストアレコードは中古レコード買取専門店なので、各音楽ジャンルに精通した熟練のスタッフが多数在籍。もちろん、ジャズに詳しいスタッフもいます。当店にレコード買取をお任せいただければ、あなたも必ずご満足いただけるはず。エコストアレコードへの売却こそベストな選択肢なのです。
あなたが大切にしていたチェット・ベイカーのレコード。私どもがその愛情を引き継ぐように、1枚ずつ大事に査定いたします。びっくりするほど高額になるものがあるかもしれません。レコード買取のご依頼はエコストアレコードへお気軽にお申し付けくださいませ。
筆者: 福田俊一(ふくだ・しゅんいち)
FTF株式会社 制作部/販売部兼務。買取部門のコラムやnoteのほか、販売部門の特集コラムを執筆。大学卒業後にレコード収集に興味を持ち、約15年かけてジャズレーベル、ブルーノートの(ほぼ)すべてのLPをオリジナルで揃えた。
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